ついに近畿地方が梅雨入りした。だが、うみうし部には関係ない。雨でも海のためならもちろん行くぜ。目指すはもちろんホームの塩坂越(しゃくし)。潜水バカたちの気合いが入る。

今シーズン3度目の活動日。運良く梅雨晴れにあたり、367号線も快適だ。


参加者/MAYU、NAKA、アジコバ


大好きなプラントへ到着した。今回は滞在時間を15分に設定していた。野外クッキングは、うみうし部お得意の「キムチ鍋」なので、あらかじめネギ、もやし、豚肉、白身魚などの購入品をピックアップしていたのだが、そこは不思議ワールドプラント。予定していたプラントの通路ルートも寄り道ばかりで先に進まなかった。

前回の活動から1週間悩んだというアジコバはついにぞうりを購入。裏に特種な滑り止め加工が施してあるが、税込み980円というすばらしいコストパフォーマンスなので、売り切れていたらどうしようと不安だったらしいが、心配するまでもなく、売場にはまだまだ在庫が陳列されていた。

私はというと、18円のコロッケを見つけてしまい、10コ買っても180円!!という激安の計算式で完全にテンションが上がってしまい、結局プラントを後にしたのは入店の30分後であった。15分の壁はまだまだ厚い…。
11時30分、塩坂越へ到着。心配していた波もほとんどなさそうだ。海水浴客は1人もいない。今日も塩坂越はうみうし部のモノになった。さっそく堤防の上の駐車場にてキッチンをセッティングし、キムチ鍋作りに取りかかった。すると、近くをうろうろしていた地元のじいさんが、「なにしとる?」と話しかけてきた。日本海での貝採りは御法度だということを熟知している私たちは胸を張って「生き物観察にやってきました」と誇り高く答えた。するとじいさんは非常に感心したような表情で目を細め、「貝を捕ったらいかんぞ」と言った。「えぇ、もちろんです!」塩坂越に爽やかな風が流れた。そう、うみうし部は県公認のナチュラリストなのである!!
うみうし部のキムチ鍋は、キムチの素に頼らない。ダシをイチから作るオリジナルだ。まずキムチと豚肉、ニラを炒め、豚キムチを作る。香ばしい匂いに食欲をそそられる。過って豚キムチを一口でも食そうものなら負けだ。あっという間にダシ用の豚キムチは無くなってしまう。グっと我慢し、水を入れる。沸騰すれば、コクを出す味噌を溶かし入れてダシの完成。湯浅醤油をお好みで足らすこともある。
ちなみに今回使用したキムチは、MAYU家ではどうにもこうにも処分することが出来ずに持参した賞味期限切れのもので、うみうし部で消化してもらうことにした。賞味期限は1ヶ月経っていたのでメンバーには秘密にしておいたが、今のところ腹痛の報告がないので心配はないだろう。キムチ鍋の定番である白身魚はカワハギを使用した。キムチのおかげで臭みは感じずに美味しくいただけた。

メンバーのNAKAは今回も米を2合炊いた。シメのラーメンがあるんだから、米は要らねーだろ…と思っていたのだが、先日の活動時に米の炊き出しに成功したのでどうしてもまた米を炊きたいらしい。しばらくして2合のふっくらした飯が出来上がった。NAKAは飯ごうのスキルを完璧に習得したようだ。


青空の下、水平線を眺めながらキムチ鍋をつまむとじんわりと汗が出る。穏やかなのひととき。ふと、背後から目線を感じた。振り返るとそこには…
懐かしいジョンの姿が!!!!!

そう。前回の塩坂越活動の時、我々に縄張りを奪われ、右往左往していた彼(彼女)との再会だ。キムチの臭いに釣られたのだろうか、じわじわと私たちとの距離を縮めるジョン。振り返るたびに近づく様はまるで「だるまさんが転んだ」状態ではないか。ジョンの顔にも注目してほしい。
日本ペットフードのビタワンそのものだ。食いしん坊のジョンに私はNAKA自慢の白米をプレゼントした。するとNAKAは「米をやらなくてもいいじゃないか!」とカンカンに怒ってジョンを威嚇し、遠くへ追いやった。それ以降、ジョンは私たちのキッチンには近づこうとしなかった…。
少し遅れて10名ほどのカヌーチームがやってきた。私たちの隣で楽しそうに準備を始めている。素潜り部にくらべてなんと華やかなことだろう。カヌー人口はとても多そうだ。すると、おもむろにNAKAとアジコバはメッシュバッックからフィンとウエットを取り出し、カヌーグループの横に立て掛けた。一体なんのアピールだろう?ただキムチ鍋を食ってる変わり者だと思われたくないのか?仕方なく私も器材を柵に立て掛けたのだが、カヌーと素潜りではテニスと卓球ほどの差があるじゃないか。「無駄な勝負を…」そんな我々に目をくれることもなく、カヌーグループは楽しそうに塩坂越のビーチから世久見湾の洞くつを目指し、漕ぎ出していった…。


遅れをとったが、そろそろ我々も準備を始めなくてはいけない。私たちも洞くつを目指しているのだ。だが、米のダメージが大きかった。素潜り前はあまり食べないほうが良いという鉄則を知りつつも、腹は満腹状態。乾いたウエットが体を締め付けて吐きそうだ。動け!うみうし部!!


先日、パムコの館長さんに洞くつポイントを教えて頂いたルートを行くことにした。今回は塩坂越の左手を回る。ところどころ小さな洞くつがあり、スリリグなルートだ。

海の中の様子はどうだろう??もちろんサルパはいない。生き物の種類も豊富になってきた。アメフラシはMAXに巨大化し、今シーズンはこれが最後だといわんばかりに、あちらこちらで交接を行っている。中には集団でまぐわっているものもある。塩坂越の左先端を回ると、懐かしい地形が広がっていた。11メートルのドロップオフ。前回はサルパに行く手を阻まれここまで辿り着く事が出来なかったのだ。洞くつはその先…。だが、岩場に釣り人がいた。これ以上進むのは危険だと判断。今回もまた断念した。ドロップオフでしばらく素潜りを行い、寒くなってきたので生き物を観察しつつ岸へ戻ることにした。
ホシギンポ、ヘビギンポ、ナベカ、ニジギンポなどのギンポ系が目についた。シロウミウシ、アオウミウシ、キュウセンベラ、キヌバリ、メジナ…他にも様々な生き物が見受けられる。サルパ、ホンダワラ、アメフラシなどは徐々に姿を消し、魚類が活発に動き出す。

海の中はもう夏である。



風/ほとんどなし
水温/21℃
透明度/5メートル

今回の海はとても快適であった。少しずつ海に居る時間が長くなってきている。黒砂糖入りの煎れたて前田珈琲を飲み(マグカップはスタバだが…)、体をあたためる。穏やかな海を眺めつつ帰り支度を始めた。あんなに厳しかった海はどんどん穏やかになる。これからもっともっと楽しくなりそうだ。
ジョンに別れを告げ、梅の湯へ向かう。館長さんにも「また来ます」と挨拶をした。毎週顔を出しているので、もうそろそろ覚えられているだろうが…


常神を見渡せる世久見湾。なんとも美しい。海よ、今日もありがとう!
帰りはもちろん王将に立ち寄った。
安く楽しく安全に!をモットーにしているうみうし部、要らないキムチを持参するなどの節約効果で、風呂代、晩メシ代を入れて2300円という激安っぷりで幕を閉じた。
2000円を切る日も近いかもしれない…


●おまけ。

帰宅途中、車内は前日に放送されていた「天空の城ラピュタ」の話題で持ちきりだった。おばさんがパズーに言った「40秒で用意しな」は、うみうし部の標語にしたい名セリフだ。大原の八瀬まで帰ってきた時、「ホタルを見に行こう」ということになった。川沿いに車を停め、水辺に近づくと、ホタルの光がちらほらと…。とてもキレイだったのだが、先程までジブリ話で盛り上がっていたせいか、「ほたるの墓」の音楽が頭から離れない。加えてカップルも多い。いろんな意味でもの悲しく八瀬をあとにした。翌朝、MAYU家の玄関に目をやると、潰れたホタルが一匹…。車にホタルが付いていたらしい。

いま恋をしている、恋人がいるなどという方がいたら、ぜひ訪れてほしい期間限定のスポットであるが、くれぐれもホタルのお持ち帰りがないように注意してほしい。

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