にくいあんちきしょう。サルパ大量発生!!


2007年5月、うみうし部海開き中の出来事。
メンバーを鳥肌モノの恐怖に陥れた「サルパ」とは!?
ちなみに先日まで「サル」と呼んでいたのですが「サル」の間違いでした。
失礼致しました。この場にてお詫びと訂正をさせて頂きます。


以下、福井県水産試験場様のサイトより転用させて頂きます。

4月上旬から福井県沿岸域でサルパ類の一種であるトガリサルパというゼラチン状の大型プ ランクトンが大量発生しています。


サルパは?
サルパ類は寒天質で、浮遊生活をしていることからクラゲに良く似ていますが、クラゲとは別 種で分類学的にはホヤに近い仲間です。南極海を含む全世界の外洋に広く分布しており、今 回、大量発生したトガリサルパは、日本近海で最も一般的な中型のサルパで長さが約5cmで す。
 トガリサルパは有性世代(雄と雌がいる世代)と無性世代(性の区別がない世代)を交互に繰 り返す世代交代を行い、図のような異なった2種類の個体を生じます。
 1種類は単独個体と呼ばれ、有性世代の個体から生み出されます。もう1種類は芽生個体 といい、単独個体から出芽(分裂のようなもの)することによって生じ、数珠つなぎになることか ら、連鎖個体と呼ばれています。この連鎖個体は雄と雌の機能を有しており、1個体だけで受 精を行い単独個体を産み出します。
 このようにトガリサルパは単独個体(無性世代)と連鎖個体(有性世代)を交互に繰り返すた め、同じ種類にもかかわらず、その形は違ったものとなります。



若狭湾における発生状況
 若狭湾のごく沿岸から水深250mまでの海域で大量に発生しており、福井丸によるプランクト ンネットを用いた層別採集の結果、分布水深は0〜75mで、昼間には25〜50m層に、夜間に は0〜25m層に主に分布していることが分かりました。
 発生のピークは5月上旬頃で、5月20日の時点では大きく減少し、ピーク時の約10分の1 程度になっています。
 今回、トガリサルパが大量発生したことによって、網の目が詰まったり篭に大量に入るなど、 漁業者の方々は大変お困りだと思います。
 しかし、このサルパ類は大型回遊魚の餌となる場合もあり、大量に発生することによってサバ などの成長、生存に有利になるといわれ、悪いことばかりではないようです。

(和田 晃治)


以上。大変勉強になりました。ありがとうございました。

また、私たちが見た詳しいサルパの種類については現在、調査中です。



追加情報1
2007.6月1日
福井県水産試験場様に詳しいサルパの種名をメールで確認しました。


サルパの種名については、送っていただいた写真から、
種名を特定することはできませんでした。
申し訳ありません。

しかし、これまでに若狭湾においては、トガルサルパをはじめ、
オオサルパやモモイロサルパの出現は確認されております。

接写モードが甘かったようなので、次回の課題とさせて頂きます。
福井県水産試験場様のあたたかいメールに感謝致します。




追加情報2
2007.6月1日
サルパについての被害報告がヤフーニュースに掲載されていましたので、転用致します。


敦賀原発:クラゲより手強いプランクトン「トガリサルパ」が侵入、出力降下/福井
2007年5月30日13時1分配信 毎日新聞


◇原電悩ます
 原発に新たな敵か――。例年この時期から原発の海水取り入れ口に大量に押し寄せ夏場の風物詩のように電力会社を悩ませるのはクラゲだが、今度は日本原子力発電(原電)の敦賀原発の取水口に大型プランクトン「トガリサルパ」が侵入。復水器のフィルターに付着したため原電が2号機を出力降下させた。
 トガリサルパは、「海のパイナップル」として知られるホヤに近いゼラチン状の大型プランクトン。原電はフィルターに大量に付着したのを取り除くため、28日夜から出力(定格116万キロワット)を40%まで落として運転しているが、同プランクトンによる障害で同社の原発が出力を下げるのは初めてという。
 原発では取水口から頻繁に吸い込まれるクラゲなどの対策で防塵装置を設けているが、より小さなトガリサルパは装置では取り除ききれない。さらに粘性があり復水器の直前にあるフィルターに張りついてしまう。通常は水を逆流させる洗浄システムで対処できるが、今回は大量に押し寄せたため、目詰まりを起こしたとみられる。
 ◇大型回遊魚、成育には好影響−−県試験場
 県水産試験場によると、トガリサルパは数年おきに4〜5月ごろ、大量発生して漁業被害をもたらすこともあるが、一方で大型回遊魚の餌ともなり、サバなどの成育に好影響があるという。流れに逆らうほどの遊泳力をもたず、今年は同試験場にトガリサルパによる漁業被害の報告はないため、「大量発生ではなく、最近の強風が潮の流れに影響し、大量に流れ着いた可能性も考えられる」と分析する。毎年、発生のピークは5月までで、今後は漂着も収束するとみている。【高橋隆輔】



というわけで、おそらく私たちが目撃したサルパ種名は「トガリサルパ」ではないかと思われます。
サルパの大量発生、フィルターの根詰まりによる出力低下…。サルパに囲まれた私たちだからこそ、その猛威がしみじみと理解できるというものです。20世紀の大発明でさえ、サルパの力強い生命力の足下にも及ばないのです。

次回の素潜り時にサルパがまだ存在していたならば…
サルパをありとあらゆる角度から接写させて頂きます。

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